環境月間だから考えてみる③【ブックレビュー】アル・ゴア「不都合な真実2」

6月5日は環境基本法により「環境の日」と定められています。国連もこの日を「世界環境の日」と定めており、6月は世界中で環境への啓蒙意識が高まる月となります。

「今年の環境月間は何をやろう?」

会社レベル、自治体レベルでも環境月間には様々なキャンペーンが展開されます。個人レベルでもこの機会に何かやりたい。そう思った時にすぐにできることの一つが「読書」です。

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「不都合な真実2」アル・ゴア (著) 枝廣 淳子 (翻訳) 実業之日本社 (2017/11/7)

言わずとしれた環境活動家アル・ゴア氏の著作「不都合な真実2」。これを取っ掛かりに環境について考えてみたいと思います。

2022年5月現在、「不都合な真実2」は出版から既に5年近く経過しています。前作の「不都合な真実」は2007年のベストセラーなので、その10年後に出版され「あれから世界はどう変わったのか?」と問いかけるものにもなっています。映像の「不都合な真実2」をそっくり書籍版にしたような内容ではないようです。

パワーのあるメッセージや多くのインスピレーショナルな写真や図表が多用されているこの著作は、様々なジャンルの環境に関する本に触手を伸ばす前の取っ掛かりにもなります。

表紙カバーからの引用:「Your action handbook to learn the science, find your voice, and help solve the climate crisis」(科学を学び、自分の声を見つけ、気候変動の危機を解決するためのガイドブック)

アル・ゴア氏の業績

気候変動に関する衝撃を世界中に与えた、あるいは与え続けているアル・ゴア(AL CORE) 氏について、そのプロフィールを簡単におさらいします。

  • 1948年3月31日生まれ。(2022年5月現在、74歳)
  • 1993年にアメリカの第45代副大統領に就任し、8年間その職務を果たしています。(1997年の京都議定書で採択をリードしたと言われる)
  • 2007年、主演する「不都合な真実」が第79回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞。
  • 同年、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)と共同でノーベル平和賞を受賞。
  • 気候の危機を解決しようとする「クライメート・リアリティ・プロジェクト」(トレーニングプログラム(※))の会長。
  • ベストセラーになった著書は「地球の掟」「不都合な真実」「理性の奪還」「私たちの選択」。また近著に「アル・ゴア未来を語る―世界を動かす6つの要因」がある。

(※)「クライメート・リアリティ・プロジェクト」日本支部のウェブサイトはこちら

「不都合な真実2」の前半:気候変動の危機に関する事象

「不都合な真実2」はアル・ゴア氏のプレゼンテーションを観ているような作りになっています。それもそのはず自身が会長を務める「クライメート・リアリティ・プロジェクト」のトレーニングプロジェクトの抜粋となっているようです。パラパラとどのページをめくっても気候変動危機に関するインスピレーショナルな情報に出会えますが、大きくは2つのパートに分かれています。

「権力に真実を」と銘打っている前半では、ダイレクトに視覚に訴える写真や図表、パワーのある印象的なメッセージを多用し、世界中のあちこちで起きている気候変動の危機に関する事象(=不都合な真実)を解説し、警鐘を鳴らします。

例えば、海水面上昇による豪雨発生のメカニズムの説明と「雨爆弾」の資料などが衝撃的でした。(2016年アリゾナでの猛烈な豪雨の写真)

「不都合な真実2」後半:アクションの方法を提示

「真実を権力に」と単語を反転させたキャッチフレーズで展開される後半では、権力者に真実を突きつけるために行動しようと働きかけます。気候変動の解決を進めるために個人ができることについて、「クライメート・リアリティ・プロジェクト」のリーダー育成の具体例も交えつつ、政治家に直接・間接的に働きかけるための大胆なアクション事例が紹介されています。

気付き1: 気候変動について効果的に書くこと

本書で紹介されるアクションの事例には次のようなものがあります。

  • 自分の地区の議員に電話をかけたり、ツイートしたり、手紙を書こう。
  • アメリカ合衆国憲法修正第一条に則り請願を始めよう。
  • インターネットを駆使して環境活動家になろう。
  • マスコミを使って自分の影響を拡大しよう。
  • クライメート・リアリティ・リーダーになって自身が講演を行おう。

アメリカならではの事例であり日本に置き換えて考える必要があるものもありますが、どのような立場でアクションを起こしたいかを問わず参考になる点が多くあります。その一つは「効果的に書くこと」です。

  1. タイミングを逃さない
  2. 簡潔に書く
  3. 具体的な例や根拠を提示する
  4. 読み手によって読みやすいか相手の立場になって書く
  5. 媒体を選ぶ
  6. 発表する前にセカンドオピニオンを得る

このようなことは当たり前のことではありますが、社内イントラでメッセージを発表する、SNSに投稿する、ブログで書く、それらのどれを行う場合にも共通項になり得ます。これらの効果的に書くためのTIPSを念頭に置きたいと改めて思いました。

また悲観的な情報だけでなく希望を伝えることの必要性についても書いてありました。

世界中に影響力を与え続けている人の提示するアクションハンドブックなので、ここまで行動することによって結果を残すことが出来るのかと偉人伝を読むような気持ちになりましたが、広告や宣伝、ネットワークの作り方の視点からも参考にもなります。

気付き2: 環境問題に関するトレンドを追うための情報源

本書ではアメリカに住む人が活用できそうなウェブサイトが多く紹介されており、アクションハンドブックと銘打っているだけあります。アメリカではこのようなものがある、それでは日本ではどうだろうかと考えるきっかけになります。

例えば、南部環境法センターのプロジェクトのサイト(www.stories.soloar)では、ソーラーパネルが広がってきているアメリカのサウスイーストにおけるソーラーパネル実践者の等身大のストーリーが紹介されています。ソーラーパネルは地球のためだけではなく経済的でもあるというプロモーションになっています。

他にも自身のカーボンフットプリントを計算したい、最寄りのファーマーズマーケットを探したい、グリーンな事業を行うホテルを探したい、そんな時に役立ちそうなサイトの紹介が多くあります。

2007年からの10年、そして今後

2015年のパリ協定は全ての国が参加する形で、長期目標として世界の温室効果ガス排出量をゼロにすることが合意されました。ゴア氏もアメリカの会社にインドへの技術協力を働きかけ、合意形成に貢献しています。

「行動を起こすことで世界が変わる」ということを体現しているゴア氏。森林火災、パンデミック、異常気象、海のプラスチック問題・・・世界中を見渡すと数えきれないほどの環境問題がありますが、環境活動を啓蒙するリーダー達がどのように行動しているかを参考に、自身の行動にも希望を持ちたいと思います。

アメリカは京都議定書からもパリ協定からも離脱しています。ゴア氏の牽引力により、州レベル、民間レベルでアメリカ国内において気候危機へ対処するためのうねりが生み出されてきたことを思うと、「真実を権力に」というフレーズにとても力強い響きを感じます。

国内外のトレンドを追って再確認

電気をこまめに消す、ペットボトル購入からマイボトルへ、まずは小さいソーラーパネルから試してみる、有機農業で作られた野菜を選ぶ、という一つ一つの消費行動がどのように社会貢献になっているのか分からないことも多いです。でもそれらの行動ひとつひとつが日々の投票行為になっていることは間違いありません。国内のトレンド、世界のトレンドがどうなっているか、折に触れて確認することがモチベーションにもつながります。本書がその確認作業の一つになったと思います。

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