環境月間だから考えてみる② 5月22日は国際生物多様性の日 

近年はSDGsが浸透してきていることもあり、「6月=環境月間」という考えも一般的になってきているのではないでしょうか。

5月22日は国際生物多様性の日となっていますので、環境月間に先駆けて、一足早く環境について考えてみるのも良いかもしれません。

過去に「環境月間、何しよう?」という記事を書きました。

環境月間、何をしよう? ―6月5日は世界環境デイ
環境月間に個人レベルでやりたいことを挙げました。

6月5日は環境基本法により「環境の日」と定められており、国連もこの日を「世界環境の日」と定めていますので、毎年6月は世界中で「環境保全」の啓蒙をはかるキャンペーンが行われます。

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5月22日は国際生物多様性の日

「国際生物多様性の日」とは国連が定める国際デイで、生物多様性の問題に関する啓発を目的として定められています。1992年5月22日に生物多様性条約交渉会議において採択されました。

今年(2022年)は採択から30年の節目の年となります。

  • 2021年のテーマ⇒ We’re part of the solution #ForNature(私たち自身が解決の鍵)
  • 2022年のテーマ⇒ Building a shared future for all life(すべてのいのちと共にある未来へ!)

沖縄県には絶滅のおそれのある野生生物が2,014種

沖縄の生物多様性について考えてみます。

沖縄には多くの希少動植物がいます。最新の「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生動植物第3版(レッドデータおきなわ)」によると県内で絶滅のおそれのある野生生物が2,014種にのぼることが明らかになっているそうです。営利目的による乱獲や外来種が大きく影響していると言われています。

これを背景に、沖縄県は令和元年10月31日に希少種の捕獲禁止や外来種の飼養の規制等の内容を定めた「沖縄県希少野生動物保護条例」を策定し生物多様性の保全に取組んでいます。

沖縄県の「指定希少野生動植物種」と「指定外来種」

沖縄県希少野生動物保護条例により「指定希少野生動植物種」と「指定外来種」が定められています。

守ろう!うちなーぬ宝おきなわの希少野生動植物 チラシ(2022年2月発行)(県のパンフレット)では、生き物たちの写真入りで分かりやすく紹介されています。

特に保護を図る必要がある希少野生動植物を「指定希少野生動植物種」といい、ジュゴンなど41種が指定されています。これらを許可なしに捕獲、採取することはできません。

希少野生動植物に係る生態系に被害を及ぼす(又は及ぼすおそれのある)動植物を「指定外来種」といい、イノシシ、サキシマハブなど9種が指定されています。(2022年5月20日現在)

ケナガネズミの交通事故死が2022年に入って急増

この記事を書いている今日、タイムリーにこのニュースを確認しました。

天然記念物・ケナガネズミ事故死増 沖縄本島北部 7カ月で17匹 環境省「安全運転と通報を」(琉球新報2022年5月20日の記事)

絶滅が危惧される国指定天然記念物「ケナガネズミ」の交通事故死(ロードキル)が2022年に入って急増していることを受け、環境省やんばる自然保護官事務所は注意を呼び掛けています。

発生場所は生息域の森林を東西に横断する県道2号が最も多く70件で、70%近くを占めるといいます。

2021年10月以降の7ヶ月でケナガネズミの交通事故は17件発生しているようですが、最も多かった11年の25件(死亡24匹・負傷1匹)以降、15件を超える年はなかったそうですので、増加しているということが分かります。

ケナガネズミは車が来ても逃げようとしないという研究結果もあるようです。

希少野生動植物が生息しているような場所で運転する場合、ドライバーは十分に注意を払うべきです。もし轢いてしまった場合はすぐに通報し、守れる命を守るということを心掛けなければなりません。

環境省やんばる野生生物保護センターのロードキル対策

環境省やんばる野生生物保護センターのロードキル対策が、同センターのウェブサイトで紹介されています。

ヤンバルクイナのロードキルは、データを取り始めた1995年以降、多い年では年間47件(2012,2014年)の交通事故が確認されているそうです。累計確認件数は約500件にのぼるとされていますが、これはあくまで確認件数であり実際にはもっと発生していると考えられるそうです。

生物多様性を守るために個人でできることは?

生物多様性を守るために個人でできることは、「SDGs」のために具体的に私は何をしたら良いだろうか?と考えた時に思い浮かぶこととほぼ同じです。

いきものぐらし 生物多様性 5つのアクション がとても参考になります。このウェブサイトでは生物多様性を守るために個人レベルでできる5つのシンプルなアクション(たべよう、ふれよう、つたえよう、まもろう、えらぼう)を軸に、過去に生物多様性アクション大賞を受賞している全国各地の様々な事例が紹介されています。

生物多様性に関する国際的な動向は?

現在、生物多様性についての2030年までの達成目標を定める「ポスト2020生物多様性枠組」を定める国際交渉が進められています。愛知目標は2020年までの目標を示したもので、残念ながら目標達成度は1割程度だとされています。

当初は2020年10月に中国・昆明で行われる生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で「ポスト2020生物多様性枠組」が採択される予定でしたが、コロナ禍を踏まえ延期されている上、第1部と第2部に分けての開催となっています。第2部は7月~9月に開催される見通しだそうですが、正式日程はまだ発表されていません。(2022年5月20日現在)

なお、2022年3月14日~29日にスイス・ジュネーブで行われた公開会議では各国の意見の隔たりが埋まらず、枠組に関する国際交渉は難航していると言われています。

人間の暮らしに密接に関わる食や農、フットプリントなどに関連する「ポスト2020生物多様性枠組」。地球を守るためにどのような野心的目標が策定されるのか、あるいはされないのか、注目しましょう。

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