【舞台鑑賞】In The Heights by 琉大ミュージカル

昨年に引き続き今年も観てきましたので、感想を書きます。(久々すぎるブログ投稿・・・)

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「学生主導型のミュージカル制作の授業」とは

学部・年次問わず誰でも参加することができる「琉大ミュージカル」は、毎年商業化されたミュージカルから演目を選び、有志による準備期間を数ヶ月経て、約5ヵ月という短い期間のうちに配役、稽古、大道具作りなどを行い、学外発表会としてその集大成を一般に開かれたホール公演で披露します。

2023年度の演題は「In The Heights」で、2024年2月12日(月・祝)に那覇文化芸術劇場はなーと大劇場で行われました。

琉大ミュージカルは、当初学内施設での発表のみがお披露目の場だったのが、受講生やリピーター(複数回受講する人)の熱量により学外発表会が行われるのが伝統となり、今に引き継がれています。25年も続いてる「学生主導型の授業」、ミュージカル上演のプロセスを体験するアクティブラーニングにはそこまで人を惹きつけるものがあるのですね・・・。

なお2022年度の演目は「big The Musical」で、2023年2月12日に宜野湾市民開館大ホールで上演されました。その時の記事はこちらです。

【舞台鑑賞】big The Musical by 琉大ミュージカル
 「琉大ミュージカル」は琉球大学にある学生主導型のミュージカル制作の授業です。今年の演目は「big The Musical」でした。とても楽しく拝見しました。

やっぱり観たその日に記事を書くべきだ・・・去年書いた内容を完全に忘れていました。

琉大ミュージカル2023「In The Heights」の感想

「In The Heights」のあらすじはこちらです。「琉大ミュージカル」ウェブサイトからの引用です。

あらすじ

ニューヨークの片隅にある街ワシントンハイツ。ここは日々の暮らしに立ち向かう人々で溢れている。故郷のドミニカに帰ることを夢みて小さなコンビニを営む主人公ウスナビは、街のおばあちゃんことアブエラの世話をしながら、隣の美容室で働くヴァネッサへの秘めた想いを抱えている。コンビニの常連であり、幼馴染であるベニーは、ニーナの両親が経営するタクシー会社に勤めている。そんなある日、ニーナが大学から思わぬニュースを持って帰ってくる。
ウスナビ、ヴァネッサ、ニーナ、ベニー、4人の若者たちが中心となって展開される、絆・夢・そして「故郷」の真の意味を描く壮大でかつ繊細なSHOW TIME

印象深かったところ

既存の作品だと言っても、琉大ミュージカル製作陣が著作権会社より上演許可を得た後に欧米より届いた英語の台本を日本語に翻訳し、そこに上演にあたっての都合などを考慮して琉大ミュージカルのオリジナル部分を加えていくわけなので、「In The Heights」琉大ミュージカル版に仕上がっていると言えます。ちなみに映画版ともけっこう違う点がありました。「In The Heights」琉大ミュージカル版について、ちゃんぽんな視点で感想を書いていきます。

  • ウスナビとヴァネッサ、ニーナとベニーの恋模様が軸に物語が展開されていきますが、進路に対する葛藤や、生まれ故郷に対する思いの自覚(=アイデンティティ)が恋愛の発展に関係していく部分が、学生たちの等身大の姿を投影しているように見え、青春時代の切なさを2倍3倍に助長していて効果的です。琉大ミュージカルがやるから作品の持ち味が引き立つ、ということですね。
  • オーケストラの充実度は去年同様、バッチリでした!ラテンミュージックの真髄に触れるようなナンバーの数々を総勢14名+学指揮(パンフより)のオケ隊がノリにノッて演奏していて、聴いている方も気持ち良かったです。特に1幕最後のナンバー(停電発生、そして花火)はカッコ良かった。
  • 大道具や小道具がとっても良かったです!スタッフ総勢21名(パンフより)がアイディアを寄せ合い、力を合わせて仕上げていったんだろうなと想像します。ウスナビの雑貨店、ニーナの父親が経営する会社、ヴァネッサの姉貴分?ダニエラの美容室、それぞれディティールに凝っていて良かった!!ものを創作する楽しさ、喜びに溢れていました。
  • 歌のうまい演者が多かったし、それを引き立たせるソロナンバーがとても多かった。台詞よりも歌詞でストーリー展開がわかりました。歌でストーリーを進められるところがミュージカルの良さだと思いますが、琉大ミュージカルとしては恐らく多くない方のキャスト人数(17名)で歌をしっかりキメてきたところに拍手したいです。
  • ワシントンハイツはドミニカ共和国やプエルトリコなどの移民が多くスペイン語に溢れた場所であるため、作中でもところどころスペイン語がそのまま登場していました。一度鑑賞しただけでは掴みにくい部分かもしれませんが、観劇を通して異文化に触れられるのは良い点だなぁと思います。パンフレットにスペイン語キーワード集を載せてくれていました。
  • 街のおばあちゃんアブエラを街のみんなが大事にしているところ、みんながアブエラを想って歌うシーン、いいですね。映画版でもアブエラが非常に印象的な登場人物でした。Paciencia y fe(忍耐と信念)は作品の真髄を表す印象深い言葉です。その価値を共有する瞬間が良いですね。
  • ニーナの両親が娘の大学のための資金で苦悩するシーンは、子育て世代の私からすると感情移入のポイントでした。ニーナの父親のソロ曲に一番共感していたかもしれません。異年齢の登場人物が出て来るミュージカル作品は、老若男女に楽しんでもらうことに繋がるなぁと勉強にもなりました。
  • ラップがふんだんに使われる作品ということで、ラップの良さは感じましたが、正直なところ歌詞が聴き取れない部分があったことも否めません。耳が慣れていなかったかもしれないし、オケにも耳がいっちゃったし、いろんな要素があってどうしても難しい点だったかなと思います。ナイストライに拍手します。パンフレットに全曲歌詞が掲載されていたので後から振り返ることができました。

1日だけ花開く大輪

長い準備期間を経て、泣いても笑っても1回だけの公演に全力を尽くす琉大ミュージカル。今回も1日だけ花開く大輪を見ました。プロの舞台はもちろん良いですが、初めてミュージカルにトライしているであろう学生も含めて、みんなで協力し合って一生懸命良い舞台作品を届けようと奮起、ばんみかそうとしている姿を見ると感動します。今回ほぼ満席状態でしたが、それ故、応援している方が沢山いるのかな思います。

座組ももちろん毎回異なる製作陣メンバーで「琉大ミュージカル」を引き継いでいっていることって、凄い。今後も続いていってほしいなぁーと思います。琉大ミュージカルを観ると若返る気がします!

あとアメリカで実際に似た企画があると思うのですが、同窓会兼ねて1回だけ練習のために集い、あの頃やったミュージカルを再演する!というのを琉大ミュージカル卒業生同志でもやったらいいのに。今の時代オンラインで事前打ち合わせはできるのでは。子どもたちの学芸会を保護者が観に行くのと逆で、お父さんお母さんの舞台を子どもたちが観に来るっていうのもなかなか面白いかも。

 

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