プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命(シャンタル・プラモンドン&ジェイ・シンハ著 服部雄一郎訳)を読みました。
脱プラ生活とは程遠い生活を送っている私が、この本を読んで得た知識・視点、率直に感じたことなどを書きます。
この本を手に取った理由
2050年には海洋プラごみの量が魚の数を上回る、タイで絶滅危惧種のジュゴンの赤ちゃんがプラごみを食べて死亡した…。最近は、プラごみにまつわるショッキングなニュースを頻繁に目にします。
中国が廃プラ輸入禁止に踏み切りましたが、これでようやく日本も本腰を入れて廃プラ排出削減の対策をしなければならなくなりました。
また、沖縄離島の漂着ゴミの問題は深刻で、マイクロプラスチック汚染も進んでいます。

確実に地球環境を汚染し続け、地球上の生物に害をもたらしているプラスチック。そして、日本に住む私達は周りを見渡せばプラスチック、プラスチック、プラスチック…なんとプラスチック製品の多いこと。
どうやったらプラスチックを断つことができるの?それって可能なの?という気持ちで手に取りました。
「プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命」の概要
これを知っても、まだペットボトルを買いますか?
今、世界的に注目を集めているプラスチックごみ問題。じつは環境だけでなく、私たちの健康にも知らぬ間に害を及ぼしている。使用中に漏れ出す化学物質の作用とは? 使い続けても大丈夫? その危険性の徹底解説から、代替品を使った暮らし方のヒントまで網羅した“プラスチック・フリー”入門ガイド。簡単な6つのステップで、今すぐ8割減らせる!
引用元: NHK出版
本書は6つの章から成っています。
第1章では、著者らが「プラスチック・フリー生活」を始めるに至った経緯などに触れています。
第2章では、プラスチック・フリーのスタートガイドとして「ものすごく簡単で、最大限の効果を生む6つのアクション」が紹介されています。
第3章では、プラスチック汚染、プラスチックの有害性等について紹介されています。
第4章では、日用品に潜む15種類のプラスチックの危険性が説明されています。危険度がわかるプラスチック早見表がわかりやすいです。
第5章では、生活の様々なシーンに応じて筆者らが実践している脱プラの具体例が紹介されています。
第6章は、プラスチック・フリー生活の広め方についてのアドバイスや具体例提示になっています。
裏付けデータや参考文献が豊富で、原注がこちら(NHK出版)にまとまっています。
脱プラ生活に馴染みのない私の感想
仕事、家事、育児の全てをいかに効率的にこなし、自分の時間を作るかということが日々の命題になっている私は、THE脱プラ生活のビギナーです。プラスチックは、これ無しでは生活を満足にさばけない!というものになっています。というか、生まれてから今までの生活にプラスチックは馴染み過ぎているので、もはや切っても切れない間柄になっていると思います。
まず感じたことは、紹介されている実践例の全てを私が真似るのは到底できない!ということです。
しかし、プラスチックについて無知な私が本書を読んで恐ろしくなった点がたくさんありました。
プラスチックについて新たに知って恐ろしくなったこと
- 食品を入れた後のプラスチック容器を洗っても完全に落ちないのは、油脂が容器の一部に入り込んでいるから。裏を返せば、容器の一部も体内に入り込んでいるということ。
- 海に浮遊しているプラスチックは、海洋プラごみの1%に過ぎず、残り99%は水面下に沈み込んでいる。※こんなに表面の海洋ゴミだけでも問題になっているのに!見えないところではどうなってるんだろうと思いました。
- プラスチックは有害物質を吸収しやすい。有害物質をたっぷり含んだマイクロプラスチックを食べた魚介類が人間の食卓に並んでいるかもしれない。
- ダイオキシンや重金属、内分泌撹乱作用を持つ物質が漏れ出す恐れのある絶対避けたい「ポリ塩化ビニル(PVC=塩ビ)」が、浴槽で浮かせるおもちゃの黄色いアヒルに含まれている。※子どものおもちゃに気をつけようと思いました。
- デンタルフロスで歯間を磨く時に、ナイロンのマイクロプラスチックが生み出されて下水道に流れていること。
- 歯磨き粉に含まれるマイクロビーズが下水処理施設を通り抜け、すでに何兆も世界中の海に流れ込んでいるということ。それを海の生物が食べること。
プラスチックの恐さのポイントは、有害な添加剤が含まれていること、加熱するとそれが漏れ出すこと、他の有害物質を吸収すること、自然に還らず溜まり続けること、動物が食べてしまうこと等だと思います。
脱プラ、やってみよう!
いきなり脱プラ100%というのは無理ですが、本書には脱プラへのモチベーションを上げてくれる熱いものがありました。まずは少しずつやってみたい!
手始めに6つのアクション
第2章で紹介されている6つのアクション、日本においてマイバッグは既に浸透している印象を受けますが、あとの5つはまだまだだと思います。
- レジ袋 → マイバッグ(布製)
- ペットボトル → マイボトル(ガラス製、ステンレス製)
- プラスチックコップ&ふた → マイカップ(ガラス製、陶器、ステンレス製)
- プラスチック製の食品容器 → マイ容器(ガラス製、ステンレス製、木製)
- プラ製のカトラリー → カトラリー(竹製、ステンレス製、木製)
- プラ製のストロー → マイストロー(竹製、ガラス製、ステンレス製)
マイ○○を持ち歩くだけではなく、それらが非プラであることがポイントですね。マイストローとなると、上級者に近づいているような気がします。私も、今月中には全て始めてみようと思いました。
日常生活での実践
「持続可能」というキーワードを大切に、自分にできる範囲で脱プラに取り組んでいこうと思いました。
取り入れようと思ったこと
- 手始めの6つのアクションをやってみる。
- 石鹸、シャンプー、デオドラントなどの衛生グッズやクリーナーを手作りにする。
- 洗剤の代替物で衣類を洗濯する。
やめようと思ったこと
- 離乳食を安いプラ容器に保存し、その容器のままレンジで温めること(本当にやらなければ良かった)。
- 使い捨てプラの再利用(安易なエコ精神だった)。
- タッパーを弁当箱に使うこと(1度カビ生やしたけど、またワッパに戻そう)。
プラスチックの代替物
ガラス、ステンレス、竹、布、紙など、あらゆるものがプラ代替物として紹介されていましたが、こんな製品があったんだ!と素人が驚かされたものは、蜜蝋ラップ、月経カップ、固形シャンプーなどです。
ラベルや表示を見る
プラを無くせないのなら、せめて日常に溢れているプラ製品のラベルや表示を見る習慣をつけて、どのようなリスクがあるのかを認識する癖をつけたいと思いました。
脱プラやってみる価値はある!
眉唾でも予防策を!
これまで、プラスチックをそんなに悪者扱いしなくても…と思っていた部分もありました。プラスチックは軽量なので、輸送費のコストダウンや廃棄時の重量削減になっている利点もあるという意見も聞くし、こんなに世の中に出回っているプラが人体に有害なんて眉唾なのでは?と感じていました。
しかし、危険性があると予想されるなら、予防策を取り危険を回避すべきという本書の主張にうなずけました。眉唾であっても疑わしきものは排除するに越したことはないです。
本書の解説(高田秀重 東京農工大教授)
本書の解説では、廃プラをリサイクルする過程すら環境汚染や地球温暖化の進行に貢献していることや、リサイクルしてできた製品がマイクロプラスチックを生み出す産物であることに触れています。
焼却処理も埋め立てもダメ、リサイクルにも限界があると説明し、やはりプラスチックの削減とプラスチック・フリーな生活が必要だと主張しています。
最後に
プラスチック・フリーな生活を送るためには意欲と創造的思考が必要ですが、環境保全の観点だけでなく自分や家族の健康にとってもプラスになり、かつ経済的なのでやる価値はあります。
ものを大事にすることが自分自身や自分の生活を大事にすることにもつながり、ひいては人や環境に優しく接することにつながります。
大昔はプラスチックなんて無かったし、石油はいつか枯渇しプラスチックは無くなる。そう大きく捉えれば、諦めずに少しずつでもプラスチック・フリーに挑んでいけそうな気がします。
10年、20年、30年後の未来を予想し、そこから逆算した行動を取っていきたいものです。