2019年10月31日未明に発生した首里城火災は、沖縄県内外に大きな衝撃と悲しみを与えました。
普遍的な存在だと思っていた首里城が一夜にして焼失してしまうという出来事は信じ難く、県全体が大きな喪失感に包まれました。
30年かけてやってきた復元工事が今年1月にやっと終わったばかりで、戦後首里城復元に関わってきた人たちの悔しさや胸の痛みは計り知れません。
また、文化の日周辺に首里城で予定されていた文化的行事が軒並み中止というタイミング的にも「残念」という言葉だけでは言い表せない出来事でした。
軸を失ったようなコマのような気持ちです。沖縄で生まれ育った者として、知らず知らずのうちに首里城が精神的支柱になっていたことを思い知りました。
でも悲しんでばかりいても仕方がないので、県民を始め全世界の首里城再建を願う者が一丸となって前を向き、転んでもただじゃ起きない精神を発揮せねば!と思うのです。
首里城とは
首里城は沖縄の歴史・文化を象徴する建造物で、沖縄戦で消滅してしまったものの専門家達の英知を結集し見事に復元されました。
中国と日本の築城スタイルを融合しており、グスクならではの石組みや鮮やかな朱色などが特徴です。
2000年に首里城跡(遺構)が世界遺産に登録されました。
首里城は琉球王国(1429年〜1879年)の政治・外交・文化の中心地でしたが、中国からの使者「冊封使」をもてなす宴のために琉球王国特有の食文化や伝統芸能が育まれ、その文化は今に至るまで連綿と受け継がれています。
その一つが組踊。組踊上演300周年事業の一貫で、文化の日に首里城御庭で組踊の公演が行われるはずでしたが火災を受けて中止となりました。しかしながら、組踊上演300周年記念事業のイベントは今後も予定されています。
個人的には6年前に海外から来た友人を案内したのが首里城への最後の訪問ですが、その友人からも「あの美しい首里城が火災だなんてとても残念だ」とお見舞のメッセージが届きました。
「こんなに美しかった首里城の正殿 琉球新報の写真で振り返る(琉球新報)」
過去に4度焼け落ちている首里城、今回で5度目の焼失になります。
個人ができること
11月4日現在すでに約1億8500万円の寄付が集まっているとのことです。
首里城のために何かしたいと思っている場合、募金の他にできることは何でしょうか。
私個人でやろうと決めたことは、①沖縄の歴史や文化について今一度学び直すこと ②再建の課題や再建までのプロセスを見つめ続けること ③それらをブログなどを通して広めていくこと などです。
この機会に、首里城とは何か、継承してきたものは何か、沖縄の観光業はこれからどう進むべきか、文化財の管理体制はどうあるべきかなどを改めて考えることには非常に意味があると思います。
追記:
「首里城入門」というタイトルの本を読んだので、以下の記事にまとめています。
首里城入門